「ロバート・クシュナー 優しさと棘」展
京都、銀閣寺の近くにある白沙村荘 橋本関雪記念館では、現在「ロバート・クシュナー 優しさと棘」展を開催しています。
ロバート・クシュナーという作家を御存知ですか?
日本では、まだあまり馴染みがないかもしれません。
クシュナーは、70年代後半〜80年代にかけて隆盛したパターン&デコレーション(以下P&D)という動向の中心的作家です。
P&Dの作家たちは、世界中の装飾模様を絵画に盛り込んだ絵を描くことに特徴があります。
1970年代までは、世界的に抽象絵画が隆盛していたため、彼らの装飾性の強い絵画は、大きなインパクトと新奇性を持ち、商業的にも大きな成功をおさめました。
今回の展示にあわせて制作された新作《カメリアとサボテン》(2015):吹き抜ける風に揺れる薄布と、描かれた植物と透けて見える景色が美しい作品。舞妓さんも見に来ていました。
P&Dの作家たちは、世界中の装飾に影響を受けていますが、なかでもクシュナー氏は特に俵屋宗達などの琳派の作品に影響を強く受けています。
京都では現在、琳派400周年イベントが行われていますが、そうした影響関係からクシュナー氏の招致も決まったそうです。
2000年以降は、植物を主題とした作品を多く制作。全て2m程のとても大きな作品です。
《シネラリア》(2012):側面は下地の青色で塗られている。
そして、今回、有難いことにレセプションパーティに招いて頂き、クシュナー氏に直接インタビューをする機会も得ました。
パーティーの様子。
以下インタビューの内容です。
これからP&Dの研究をしたいと思っているので、少しお話を聞かせてください。
もちろん。良い研究テーマだね!
P&Dには沢山の作家がいますが、誰か一人が始めたのか、それとも皆で一緒に始めたのですか?
皆で一緒に集って活動したけど、皆を引っ張って行ったのはミリアム・シャピロだったかな。僕が一番若い世代だと思う。
あなたの作品には東洋やイスラムの文字を使った作品がありますが、文字についてはどう考えていますか?
僕には、東洋の文字は読めないんだけど、その形がとても美しいと思って作品に使っているよ。
東洋の文字に影響を受けた作家としては、過去に抽象表現主義の作家がいますね。
フランツ・クラインなんかそうだよね。でも僕は彼らと違って、そうした文字を切り抜いて、画面に直接コラージュする手法をとったんだ。
あなたの他に日本の文化に影響を受けた作家はいますか?
うーん、多分いないかな。僕だけだと思う。
日本ではまだまだ研究が進んでいないので、これから調査したいと思っています。
メールをくれたら、何でも答えるよ!ヴァレリエ・ジャウドン(同じくP&Dの作家)も今ニューヨークで個展してるよ。彼女とも仲が良いんだ。NYにおいでよ!
是非(うれしい)!
日本ではP&Dについての研究はまだ充分に進んでおらず、作品を見る機会もとても少ないです。
そのため今回の展示やカタログはとても貴重なものです。
カタログには、私の指導教官である篠原資明教授も寄稿されており、私の拙論もご紹介頂いております。
この機会に是非展示に訪れ、そしてカタログも覗いてみて下さい!